食物を栽培する魚−ソラスズメダイ亜科 は藻類を食べる種が多く、なかには死サンゴの表面に生じる藻類を栽培する興味深い種もいる。そのため、縄張り意識が著しく、あまり群れは作らない。また稚 魚は生活の場を成魚に追われないよう、全く別の体色をしている場合があり、オスも婚姻色を強く発現する。かれらは「藻園」と呼ばれる一辺が数mの縄張りを もち、この藻園に、種によって一定の食物用紅藻を栽培している。動物が、餌にする植物を栽培する能力をもつということは、類例のごく少ない現象だが、この 亜科にその担い手が数種類も存在する。古くから知られていたのは、スズメダイモドキで、他にハナナガスズメダイ、ルリホシスズメダイ、ダンダラスズメダイ などが藻園を持ち、何種かの藻類を栽培している。草食性の魚や貝やウニを追い払い、望ましくない藻が生えるとこれを抜き取り、藻の畑を維持している。 2006年に京都大学大学院理学研究科の畑啓生氏が報告したレポートによれば、クロソラスズメダイはその究極であり、紅藻イトグサの1種だけを栽培し、こ れを食料としているという。他の藻類を全て抜き取って生育させるので、イトグサはこの魚がいない場所では生育できない。』磯 魚ワンダー図鑑(荒俣宏氏著、 2007年新書館)より抜粋
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