小浜島調査記 ―石西礁湖に潜る―


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八重山諸島最大で深い森をもつ西表島、そのすぐ東に点在する小さな小浜島。その間には潮汐によって複雑で速い潮流が起こり、そのためヨナラ水道と呼ばれています。小浜島から西表島を望みました。今は穏やかに夕日を映しています。
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あまりの美しさにのまれました。サンゴをなぎ倒す台風や、陸からの汚染物質の流入、海水温上昇などによる白化、大発生したオニヒトデによる食害。しかし度重なる攪乱から何度も立ち上がり、一面サンゴに覆われた見事な景観を見せてくれます。おそらく潮通しが良くてサンゴに降り積もる堆積物を洗い流したり、海水をかき混ぜて水温を下げるなど、この場所の良い条件がサンゴの再生を可能にしているのでしょう。このような場所はサンゴの幼生の供給地としても大変重要な役割を果たしています。
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一面のユビエダハマサンゴの大群落。透明な水を通して熱帯の太陽が降り注ぎ、枝の間に色とりどりの小魚たちが舞い泳ぐ。僕の好きな光景の一つです。ユビエダハマサンゴはオニヒトデに好まれないために、他のサンゴがオニヒトデに食べ尽くされるなかで生き残り、大群落を作るそうです。
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しかしそのような大群落は台風に弱くなり、熱帯特有の猛烈な台風で写真のようになぎ倒されることがあります。そうすると、新しくできた空き地に他のサンゴが加入します。このようにして、サンゴ礁では様々な種のサンゴ類が共に生きているのです。
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マンタを初めて見ました。翼の先端の薄さ、その繊細な動きに感動を覚えました。マンタはプランクトンを食べるため、潮流の速いところに集まります。西表の周辺もその一つ。この個体は両翼を併せると4メートルになろうかという雌でした。こんなに大きくすばらしい生物を身近に見ることができる。沖縄のサンゴ礁の豊かさをしみじみと感じました。
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魚垣−ながき−。小浜島のリーフはこのように珊瑚礁石灰岩を積み上げた垣によって縁取られています。干満の差を利用して、満潮時に垣の中に入り込み、干潮時に垣に取り残された魚を捕まえる伝統的な漁法。現在ではあまり盛んではないようですが、人もサンゴ礁の様々な生物たちと共に暮らしてきた、そのことを示す美しい景観を残しています。



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